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服部律子

助産師・保健師・看護師
専門は多胎児・未熟児の育児支援、母乳育児支援
双子の親の会「ツインスターズ」代表
 
母乳と離乳食
2006/01/07
離乳食とは、赤ちゃんがミルクや母乳から固形食が食べられるようになるまで、少しずつペースト状の食べ物から切り替えていく赤ちゃんの食事をいいます。離乳食の進め方は、多くの育児雑誌に紹介されており、基本的には「離乳の基本」が厚生労働省から出されており、それを基にすすめていくとよいのですが、いくつか質問の多い点について、考えてみます。
@ 離乳の準備は必要か?
離乳食を始める前に、果汁やスープを与えましょう、という指導が今でもよく見かけられます。これについては、与えてもよい、という程度であって、是非とも必要な食物ではありません。離乳の開始とは、母乳やミルク以外の固形物を与えることをいうので、このような水分は、離乳食とは言いません。4ヶ月くらいで、スープや果汁という内容が多いのですが、飲ませていけないことはありませんが、違う味に慣れさせるために必要、ということはありません。特に母乳だけで育っている赤ちゃんにとっては、母乳の味だけで十分なのです。母乳は飲みはじめと、飲み終わることとでは、成分も違うので、味も違うといわれています。母乳だけで、味の変化を楽しめることになるのです。また母乳を十分与えていれば、水分が不足することもありません。
ミルクの赤ちゃんも、きちんと溶かした(薄めても濃すぎるのも赤ちゃんにはよくありません)ミルクをほぼ月齢に応じた量を飲んでいれば、4ヶ月になったからといって、果汁を飲ませる必要もないのです。
もちろん、スプーンで季節のおいしい果汁をあげて、赤ちゃんが喜んでくれれば、それは楽しいことです。離乳食の準備といって、決まりがあるわけではないのです。
A 離乳の初期
「離乳の基本」には離乳食は6ヶ月中に開始することが望ましいとあります。多くの赤ちゃんは5ヶ月ころになると、母乳以外のものに興味を示すようになり、どろどろしたものをスプーンでゴクンと飲み込む事ができるようになります。しかし、これも目安ですので、5ヶ月でも離乳食を欲しがらず、母乳だけという事も多いのです。そうであればしばらく待って、ゆっくり目にはじめてもかまいません。4ヶ月以前の早すぎる離乳には、食物アレルギーなどの問題があり、最近は勧めることはありません。
B 離乳の進め方
赤ちゃんによって離乳の進み方には、個人差があります。「離乳の基本」の食事の回数や量も、これも目安です。母乳が中心であれば、離乳食は進まないように思うことも多いと思います。しかし母乳をしっかり飲んでいる子どもは、咀嚼力も十分発達しており、適切な食事を与えれば、時期がくればちゃんと食べてくれるようになります。適切な食事、というのがわかりにくいかもしれません。柔らかめの食事で「もぐもぐ」の練習を十分にしましょう。どの程度の柔らかさか、わからなかったら月齢程度のベビーフードを参考にしましょう。そしてできるだけ家庭の食事から取り分けて、つぶしてあげるようにして、離乳食を難しく特別のものと考えない方がいいと思います。
C 離乳食と鉄分
母乳には鉄分が少ないように思われていますが、母乳の鉄分は赤ちゃんの体内に吸収されやすい鉄分であり、母乳中心だからといって、鉄分が不足することはないと言われています。しかし、離乳期中期から体内の貯蔵鉄は減少し始め、生後9ヶ月ごろには鉄欠乏が生じる可能性があることが言われています。これは母乳の赤ちゃんもミルクの赤ちゃんも変わりません。ですから離乳食では、赤身の魚・肉・レバーなどのたんぱく質を心がけて摂る必要があります。レバーなどベビーフードでもかまいません。バランスのよい食事をとることが大切なのです。
D 離乳食と赤ちゃん
赤ちゃんにとって、離乳食は母乳やミルクからお母さんやお父さんと同じようなご飯を食べられる楽しい経験です。母乳のほかにもおいしいものがあることを、赤ちゃんが学んでいくのは、お母さんたちにとっても楽しいことですね。離乳食を食べてくれないと悩んでいるお母さん方も多いのですが、ご家族がおいしく食事をしていると、きっと赤ちゃんも興味をもってくれるのです。赤ちゃんが食べたくない時には、無理して食べさせる必要はありません。毎回毎回ちゃんと決められた量を食べてくれる赤ちゃんはまずいないのです。1週間単位で考えてみると、そこそこ食べてくれているものです。離乳食を難しく考えて悩むよりも、赤ちゃんと一緒に食事をする時間を楽しみましょう。

おしゃぶりについての考え方
2005/09/02
最近、赤ちゃんから2,3歳の幼児まで、おしゃぶりを与えている親が増えていると思われます。10年ほど前までは、これほどおしゃぶりは売られていなかったでしょう。「おしゃぶりは舌や顎の発達を助けて鼻呼吸を促す」という宣伝とともに商品化されています。これに対して小児歯科医はおしゃぶりを長期に使用すると乳歯の噛み合わせに悪影響を与える、と警告を与えています。小児科と小児歯科の保健検討委員会での報告がされていましたので、お知らせします。噛み合わせの問題については、2歳半から3歳過ぎまで使用していると、噛み合わせの異常が残る、とされています。これにより小児歯科では、2歳までにはおしゃぶりは止めて欲しいということです。また鼻呼吸を促進するという宣伝については、根拠はないそうです。
しかし、これだけおしゃぶりが使われるのには、親にとって便利なことがいくつかあります。おしゃぶりを含ませると、簡単に泣き止むし、寝付くのもよくなる、などお母さんの育児の精神的な負担が減る、ということは言えると思います。子どもが泣き止まないで、泣き声に疲れてしまう親御さんの精神状態を考えると、すっと泣き止んでくれるおしゃぶりは、育児の助っ人的役割をはたしているかもしれません。しかし、長期間しようすると、子どもが泣いてもあやしたり、なぜ泣いているのか考えないでもいい状況になってしまうこともあります。おしゃぶりを使っていても、できるだけ子どもとの関わりを減らさないようにしましょう。声をかけてり、ふれあいを楽しんだりして、子どものして欲しいことを考えて関われるようにしたいものです。

こどもの歯磨き
2005/05/10
赤ちゃんの歯が生え始めると、歯の手入れも気になります。1歳くらいで上下の前歯が4本ずつ生えてくる頃から、柔らかい清潔なガーゼを湿らせて拭いてあげるようにします。または乳児用の歯ブラシでやわらかく拭いてあげましょう。お口の中を触られることに、なれることも大切です。やさしく、嫌がらないように習慣づけの始まりです。
前歯がそろってきて、奥歯も生えてくる1歳半頃から、一日一回の歯ブラシをするようにしましょう。子どもが歯ブラシをもって自分で磨きたがることも多いですが、最後はお母さん・お父さんが仕上げ磨きをします。子どもを寝かせて頭をお母さんの両足で固定させると、安全でお口の中がよくみえて磨きやすいです。子どもは嫌がることも多いですが、歯磨きは習慣です。手早く磨いてあげましょう。歯磨きは毎日する事が必要ですが、それだけでは虫歯は防げません。やはり甘いジュース類やおやつは歯にはよくありません。おやつは時間を決めて、与えましょう。だらだらお口に甘いものがある状態は、一番歯によくありません。
哺乳瓶でジュースやイオン飲料をあたえるのも虫歯を増やす原因になります。甘いものやジュースはあげてはいけないものではありませんが、与え方を工夫しましょう。

赤ちゃんに果汁は必要?
2005/02/26
 赤ちゃんが3ヶ月くらいになると、果汁をあげたほうがいいのですか?と質問を受けます。離乳食のテキストには離乳の準備、ということで3,4ヶ月から果汁を与えましょう、とありますが、これは、どうしても必要なわけではありません。母乳の赤ちゃんは、基本的には5ヶ月くらいまでは、母乳だけで十分です。おっぱいは好きなだけあげてかまいません。たまに母乳だけで、丸々太った赤ちゃんがいますが、それも1歳くらいになると、すっきりとしてきます。母乳では、特に飲む量など制限する必要はないでしょう。果汁など好きであれば、哺乳瓶で少し(50cc程度)、またはスプーンやコップであげてもいいのです。お白湯やお茶(麦茶やお番茶)も飲むのであれば、あげましょう。
 ミルクの場合でも、ミルクが飲めていれば、果汁を補う必要はありません。それよりもお白湯やお茶で水分補給をするほうがいいと思います。母乳の場合と同様に、スプーンやコップも使ってみてください。
また水分補給として、イオン飲料をたくさん飲んでいる赤ちゃんがいますが、イオン飲料には糖分が多く含まれており、カロリーも高いのです。それだけでおなかがいっぱいになってしまうことにもなりかねません。発熱や下痢で水分が失われているときには電解質のバランスの整った、イオン飲料はよいのですが、普通の水分補給にはお白湯やお茶が一番です。
 赤ちゃんだけでなく子どもには水分補給は大切ですが、果汁も含めて甘い味のものではなく、お茶やお水が十分に飲めるようにしましょう。

冬のスキンケア
2005/01/12
外に出ると冷たい風が赤ちゃんやママに吹きつけるようにな季節です。空気は乾燥して赤ちゃんの肌もカサカサしてきます。こんな寒い季節には、スキンケアのポイントは保湿です。生まれたての赤ちゃんの皮膚は皮脂腺の働きが活発で、脂っぽく感じますが、生後2ヶ月もすると皮脂の分泌も減り、赤ちゃんの肌はとてもデリケートになっています。石鹸を使いすぎて不必要に皮膚の脂分を落としてしまわないように、石鹸の使用は1日に1回程度にしましょう。入浴のあとは保湿クリームをぬってあげるといいです。顔もカサカサになりやすいので、クリームを忘れずに。暖房のためにお部屋も乾燥しています。湿度の目安は50〜60%。のども乾燥して風邪をひき易くなってしまいます。加湿器を使うなど、お部屋の環境も整える事が大切です。時々の換気も必要です。赤ちゃんだけでなく、ご家族の風邪予防にもなります。
またママのお肌も冬場は乾燥しがちです。女性はホルモンの分泌の影響が肌の状態にも影響します。産後や育児中はストレスの多いこともあるでしょう。是非赤ちゃんと一緒に、ママもスキンケアをして下さいね。

寒くなりました、でも赤ちゃんの「あせも」にご用心
2004/12/24
今年は暖冬ですが、ここ数日ぐっと冷え込んできました。赤ちゃんのいるお部屋は、とても暖かくされています。でも外が寒くなったということで、ついつい着せすぎになっていませんか?最近は冬でも赤ちゃんのあせもがみられます。
赤ちゃんは大人より体温は高め。新陳代謝は活発で、常に身体は活動している状態です。よく動くようになってくる赤ちゃんにとって、着せすぎは体温がこもってしまうだけでなく、自由な動きを妨げます。
新生児の頃は、体温調節機能も不十分なので大人より一枚多めに着せましょう、と言われますが、その時期を過ぎると、寒がりの大人よりも少なめの衣類で大丈夫です(大人と同じお部屋にいる時は)。
背中に手を入れてみて、下着がしめっている感じがしたら着せすぎです。 衣類や寝具を一枚少なくするなどして、あせもをつくらないように気をつけてあげてくださいね。

解熱のためのシートに注意
2004/09/28
熱が出たときにおでこにはるシールで事故が起きました。4ヶ月の赤ちゃんが夜おでこにシールを貼って寝ている間に、シールがずれて鼻孔をふさいでしまい、脳死状態になったというものです。
乳児の不慮の事故では窒息がもっとも危険です。10ヶ月にならなければ、顔にかかったものを自分で取り除くことはできません。赤ちゃんが寝ているときには、顔の上に物がかぶさらないように注意することはもちろん必要です。
また熱のときの対処方法ですが、おでこを冷やすことや水枕をすることは、気持ちよくするために意味はありますが、熱の原因である病気をなおすことにはなりません。こどもが体を冷やすことによって、気持ちよくなれば、してあげてもいいですが、むりに冷やす必要もありません。特に赤ちゃんでは、薄着にして汗を拭いてあげる、暖めすぎないことに注意するとよいでしょう。氷枕では冷えすぎてしまうこともあります。熱が上がりかけて寒がる場合は暖めてあげますが、熱があるときは冷たいタオルで全身を拭いてあげても気持ちがいいものです。
解熱のためのシートは使い方に注意しましょう。

風疹に気をつけましょう
2004/09/14
厚生労働省からこのたび風疹対策の強化に関する緊急提言がなされ「先天性風疹症候群を防ぐために、風疹の予防接種を受けましょう」というよびかけがありました。風疹は一部の地域では小規模な流行がみられ、この傾向は終息するのではなく、今後数年は同様の傾向が続くと言われています。
風しんは、発熱、発疹、リンパ節腫脹を主な症状とするウイルス感染症であり、3日程度で直ることが多いことから「三日ばしか」とも呼ばれる基本的には予後良好な疾患ですが、まれに特発性血小板減少症や脳炎などの合併症を併発することがあり、また、妊娠初期に風しんにり患すると、先天性風疹症候群(難聴、白内障、先天性の心臓病のうち、2つ以上を持って生まれてくることが多い)という病気の赤ちゃんが生まれる可能性があります。
先天性風しん症候群の予防のためには、妊娠の可能性のある女性がワクチン接種を行って風しんに対する免疫を獲得することが必要ですが、妊娠中の女性をウイルスから守るためには、男女ともが風しんワクチンを接種して、風しんのまん延を防ぐことが重要です。
定期接種の対象(生後12ヶ月〜90ヶ月)となるお子さんはもちろんですが、妊婦の夫を含む同居家族、10代後半から40代の女性で風疹の予防接種の記録のない方、または抗体価が陰性もしくは低値である方、産褥早期の女性など幅広い対象の方々に予防接種の必要があります。
これから生まれてくるこどもたちのために予防接種を受けることをご検討下さい。当院でもお子様への定期接種はもちろんお母様やご家族への予防接種、抗体価を調べることを行っています。

低出生体重児の予防接種は?
2004/09/02
前回麻疹の予防接種のお話をしましたところ、低出生体重児(未熟児)ではどうしたらいいの?とご質問を受けました。低出生体重児は2500g未満で産まれた赤ちゃんのことをいいますが、1500g未満を極低出生体重児、1000g未満を超低出生体重児といい、出生体重や在胎週数(おなかの中にいた期間)により、低出生体重児の治療や入院期間もずいぶん違います。在胎週数でいえば、37週未満は早産と呼びます。
とても小さくお生まれになった赤ちゃんでは、その後の育児のこともとても心配なことと思います。退院した当初は、赤ちゃんの様子が気になり、お母さまの気持ちも休まることがないかもしれません。赤ちゃんも家庭での生活のリズムが作れないことが多いです。基本的に普通に育てていっていいのです。ただ、発達は予定日から数えて考えます。最初はすこし遅れ気味のことが多いでしょう。離乳食も予定日から数えて、5ヶ月頃からはじめるといいです。でも予防接種は、予定通り受けても構いません。低出生体重児は免疫が十分でなく感染にかかりやすいといわれていますので予定通りに受けることをお勧めします。麻疹も1歳になれば受けることができます。
小さく産まれた赤ちゃんの育児や発達で心配なことは、遠慮せず小児科医や保健師さんなどに聞いてみましょう。わからなくて不安が多いのは当然のことですから。当院でも育児相談は随時受け付けています。

麻疹(はしか)の予防接種を受けましょう
2004/08/26
はしかの予防接種は、1歳になったらできるだけ早く受けるように、小児科医会では呼びかけ、平成12年から「麻しん制圧運動」を開始しています。また「健やか親子21」という厚生労働省が主体となって進めている母子保健の国民運動でも麻疹ワクチン摂取率を95%にすることを目標にしています。
 はしかは怖い病気です。年間1万〜1万5千人の子どもたちがはしかのために入院しています。そのうち、重い合併症がみられる子どもは、30%にものぼります。特に3歳以下の子どもたちが重症になることが多く、はしかのために亡くなる子どもも年間30〜40人と言われています。入院したほとんどの子どもが予防接種を受けていません。全国的にみても1歳半で80%程度の接種率です。
 できるだけ早く(12ヶ月〜15ヶ月)麻疹の予防接種は受けるようにしましょう。京都市や乙訓地区では麻疹の予防接種は無料です。予防接種の委託医療機関で実施しています。当院でのお問い合わせは、電話またはメールでどうぞ。

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